いつも泣きだしてしまう結愛は、声も出せず、涙もこぼさずに、ただただ耐えていた。
クラスのみんなの白い目が向けられても、結愛はただそこに立ち尽くしていた。
一生懸命耐えているのが、私にはひしひしと伝わってくる。
だからこそ、締め付けられるように苦しいんだ。
「私をバカにしてんの? 早く答えなさいよ。気持ちよかったって。楽しかったって」
秋穂が掴んでいた肩をゆすり、結愛の頭は人形みたいに大袈裟に揺れた。
私はもう見ているのもイヤだった。
足が、反対方向に動き出す。
最低だけど、逃げたい。
逃げて、声もあげられない自分の不甲斐無さを忘れたい。
「もう、味方なんて、ひとりもいないんだよ! 顔がよくっても、もうアンタはおしまいなんだよ!」
私は、目を見開いて胸を強く押さえた。
逃げようとする私の心に、ぐっさりと深く突き刺さったんだ。
痛くてたまらない。
でもどうすればいいの……。


