でも、私には仲間なんていらないし、ひとりでやった方が楽だしいいの。

いつも誰かの顔色うかがってビクビクして生きるなら、うまくひとりで生きた方がいい。

媚びないことは、私の唯一のプライドでもあるんだ。

私は机に手をついて立ち上がる。

日誌を担任に届ければ、業務終了。

けれど、廊下からきびきびとした足音が聞こえてきた。

誰だろうと思って教壇側の入り口を見つめていると、そこで足音がピタリと止まった。

「あっ、羽咲さん。まだいたんだね。お疲れ様」

ファイルをいくつも腕に抱えながら、にこやかな表情を見せる男子生徒。

「今日は野球部の練習に出るつもりだったんだけど、急に生徒会の知り合いにかりだされちゃって……」

そう言いながら彼は苦笑いし、私の2つ前の席まで歩いてくると机に荷物を置いた。

すると、私の方を振り返って話しかけてきた。

「あれ? 羽咲さん日直だよね? ひとり……?」