キズだらけのぼくらは



それでもまだ、モップで擦られる。

モップの芯の部分が鼻骨を折らんばかりに押し、唇もめくりあげられそうなくらい上下に擦られる。

呼吸さえできない。

口を開ければ、鼻から空気を吸えば、モップの水が流れ込んでくる。

息苦しさに倒れそう。

けれどそんな時、急にモップが顔から離れた。

「もう飽きたわ。行こ」

「うん。コイツつまんないもんね~」

モップの柄が、軽い音をたてて床に倒れ込む。

私の前髪を引っ掴んでいた彼女は、ゴミでも捨てるように私を放りだした。

私は倒れながら、あっさりと背を向けて去っていくふたりの背中をぼうっと見ていた。

なんなんだろう。

さっき散々私をやりこめた彼女たちの背中には、見えなかった。

そんな中私は、水浸しの床に倒れるようにして、ぺたりと座りこんでいた。