キズだらけのぼくらは



胸は悔しさでいっぱいで、喉までこみ上げてきそうなほど苦しくて張り裂けそう。

私はギュッと瞼を閉じた。

コイツらに涙を見せずに耐えるために。

でも、隙間なんてほとんどなかった唇との間に、モップの水が染みいってくる。

「どう~?きれいになった?」

泣きそうで鼻がつまった今は、匂いもよくわからない。

私はせめてもの抵抗で、逃れるために首を動かそうとした。

けれど、頭皮が痛くなるほど前髪で上から吊られ、左右にかぶりを振ることしか叶わない。

ぶんぶんと首を振ったって、モップはどこまでもしつこく私を追いたてた。

泥の上の濁った水たまりをすすらされているみたいに気持ちが悪い。

それが舌先に触れるだけでも、吐き出したくなる。

泣きたくなる。

顔を思いきり歪め、我慢しなくては、声をあげておめおめと泣きだしかねなかった。

本当は今にでもそうしたいくらい、心はズタズタのボロボロなのだ。