でも、それが、私たちの生きる現実。
「ねえ、押さえててよ。水かけたから拭かないとね~」
「わかった。これでいい?」
片方の女子が、私の前髪をまとめて掴み顔を揺すられた。
顔を覆うものがなくなり、曝している顔が鏡に映り込む。
「うわぁ、ブス~。可哀想~」
目の前でモップを掲げた彼女は、モップの水滴を飛び散らしながらケタケタと笑いだす。
もうひとりも、髪を掴み上げながらよく笑った。
窓からさす太陽もよくキラキラと輝いて、彼女たちを明るく照らす。
そんな光の中で目を細めたきれいな笑顔を浮かべる彼女たち。
その笑顔は、きれいに煌めいている。
死にそうな顔を曝している私とは大ちがい。
私はやっぱり、生まれた時から敗者だったんだ。
勝ち目なんてなくて当たり前……。


