「アンタみたいのが歯向かうからいけないんだってば。三軍は三軍らしく生きてくれなきゃ困んのよ」
「秋穂の機嫌が悪くなるでしょ~。呑気に生きてる三軍には、うまく立ち回って生きてる私たちの苦労なんてわかんないんだろうけどね。まぁ、だから一生三軍なのか~」
ふたりは目配せしあって笑い合う。
三軍ってなんなんだろう……。
一軍とか二軍とか三軍とか、そんな力の図式、誰が決めたんだろう……。
誰がいつ、なんで、そんな風に振り分けたの?
私は腕を組むようにして、冷えた身体を自ら抱きしめた。
濡れて貼りつくブラウスが、気持ち悪い。
足元に視線を落とせば、私の上履きはずぶ濡れで、タイルの上は水浸しだった。
二の腕を掴んでいた手に自然と力がこもる。
私はずっと三軍として、敗者として、コイツらの言うことにしたがって生きていかなきゃならないの……?
そんなのあんまりにも不条理だ。


