「ほら、どいて。今、私がやるから!」
けれど、そんな声とともにあっさりと彼女は横へはけた。
気づいた時には視界いっぱいに汚らしい灰色をしたものが。
ぐしょりと鈍い音がたつ。
鼻へと駆け抜ける生臭い雑巾みたいな匂い。
顔は濡れ、荒い繊維質のようなもので擦られる。
ざらついたような感触と臭いが気持ち悪い。
その上、後頭部は顔に押し当てられたものでドアに無理やり押しつけられた。
「ほら、きれいになったんじゃない? トイレ用のモップで十分っしょ」
やっと解放されると、くすくすと笑う声が聞こえてくる。
「いや、もっとサービスしてあげてもいいんじゃないの? 私にあんなことをした分ね!」
私を押さえつけていた女子は、悪魔のように口角を釣り上げて笑い、私の腕を掴んで引っ張り上げた。
私は足をもつれさせながら立ち上がらされる。
すると彼女は、水がたっぷりと入ったバケツを持って大きく振りかぶったのだ。


