「やめて! なにすんだよっ!」
私はありったけの力を全身に込めた。
ドアに押し付ける手を押し返そうとして必死にもがく。
立ち上がれもしない足はバタバタと床を打ち、私はあいている手で相手の髪の束にむんずと掴みかかった。
「痛っ! 放せっ! 放せって言ってんでしょ!」
彼女は私を更に押し付け、唾を飛ばして狂ったように叫ぶ。
肩はギシギシと悲鳴を上げ、私は顔を歪ませる。
それでも私は、彼女の髪を引きちぎらんばかりに鷲掴みにして引っ張り上げた。
もう片方の手は私の手形がつくんじゃないかと思うほど、彼女の腕を締め上げる。
「大人しくしなさいよ! キモ女!」
「そっちこそ放せ!」
醜い形相でつきあわせる顔と顔。
歯を剝き出しにして、眉をいからせて、獣のように睨みあう。
唸り声をあげ、ありったけの力をこめ続ける手を震わせながら。
私は彼女の瞳に憎しみだけをつきたてた。
こんなヤツこそ消えちゃえばいいんだ!


