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バタンという大きな音が響く。

私は焦るうしろ手で、自らが閉めた戸にすぐ鍵をかけた。

その途端に、堪え切れなかったうめき声が、喉から絞り出されていく。

ふらついている私は、ふたが閉まったままのトイレになんとか腰掛けた。

目の前にはすぐに薄っぺらい一枚の壁が迫っている。

視界は遮断しても、声はだだ漏れにしてしまう頼りない壁。

天井から十数センチも開いた壁との隙間から入るなけなしの薄明かり。

そんな明かりでは、私のところまで下りてくるはずもなかった。

狭くて、脆そうで、すぐに蹴破られてしまいそうなこの空間。

私たちのことがバレてからもう一週間以上たっている今、女子トイレのこの個室が、私の緊急避難所になっていった。

怖くなったとき、泣きたくなったとき、すぐに駆けこめる場所は、こんなところしかなかった……。

私は膝に肘をついて、重い頭を抱える。