「さあな……。どれも、お前には関係ねぇだろ」
冷たく突っぱねるような言い方。
その時、風が鳴きながら吹いていった。
見下ろせば、彼の髪が優しく揺れている。
私は穏やかに揺れる彼の髪を目に映しながら、ずるいヤツと心の中でぼやいた。
あの日ここで会ったときも、雨の放課後の時もそうだった。
イタズラにドキドキさせて、あとはすぐに突き放すの。
その冷たさに、どれだけ胸が痛くなるか知ってる?
呑気に座っている彼が憎らしくなる。
私は両手で顔を覆った。
「アンタなんて……、この学校のヤツらなんて、大っ嫌い。人をバカにするヤツなんて、消えちゃえばいいのに」
指の隙間から、声が零れていく。
私をバカにしてるヤツが全部悪いの。
私の胸をかき乱すコイツも、消えちゃえばいいんだ。
言葉にすれば、余計に胸が苦しくて、手を顔に強く押し当てた。