「板野だって同じことだ。俺がいつもいる屋上で、アイツは景色の写真を撮っててな。俺はあのサイトに勧誘するために板野みたいな悩みをもつヤツのブログをさがしてたら、ちょうどその写真を見つけたってとこだ。ネットだって、こんなにもバレるんだよ」
改めてコイツのことを恐ろしいと思った。
だって、さっきの表情はどこへやら、彼は草をいじりながら飄々としているんだから。
「でもじゃあ、新太は?」
新太自身も言っていたけれど、私たちとは勧誘のされ方が違ったらしい。
2、3歩歩きながら彼の返答を待つ。
「関谷は違う。でも、お前には言えない」
私は、草を踏みしめて立ち止まった。
耳に伝わってきたのは、あまりにも冷たい響き。
私は俯いて、足元にある雑草を蹴った。
「なんで? なにがあるの? アンタもいろいろ怪しいよね。今回のこと、アンタが巻き込んだのに変わりないんだよ」
倒れた雑草を見ながら、責め立てるように言ってやった。
コイツにこういう態度をされると、胸の内にもやもやが広がっていくの。


