彼は私が喋ったあと、間髪いれずにそう言った。
半ば呆れたように、短いため息をつく。
「これは推測だけど、秋穂みたいのとは正反対の女だと俺は思ってた。きっと、地味な感じの女だろうってな」
ゆっくりと見上げる彼の目と私に目がピタリと合う。
背の高い雑草を、風はざわざわと揺らしながら吹き抜けた。
「そうしたら、俺の想像を絵で描いたようなお前がいたんだよ……」
彼が急に穏やかな顔をする。
私は胸が熱くなるの感じながら立ち尽くしていた。
風よりも、そんな彼の穏やかな眼差しが、私の心をぐらりと揺らしていく。
でも、彼の顔は瞬く間に意地悪そうなものへ変わっていった。
「お前、ひとりでいるとき油断しすぎなんだよ。自分の秘密をブツブツ口走ってた。ももたんとか、コメントのこととか、とにかく腹黒いのをな」
私は思わず、片手で頭を押さえこんだ。
そんな風に正体が知れていたなんて、ちっとも思わなかった。
自分の行動が悔やまれて、言葉さえも出てこない。


