キズだらけのぼくらは



「ねえ、アンタはなんで私たちの正体を知ってたの? 普通わかるわけないのに、おかしいじゃない」

座っているアイツの頭を見下ろしながら、私は声を低くして尋問した。

ももたんが私だと特定することなんて、できるはずがない。

ずっとそれが疑問だった。

なのに、彼は私の真剣な問いかけを、突然笑い飛ばした。

「お前や板野は、ネットのことを現実とは別物の場所って切り離して考えてるだろ。そこからしてバカなんだ」

彼はイタズラっ子のように笑って私を見上げる。

「墓穴掘りまくってるの、全然気づかなかったか? まず、お前が【アレンジした】って自慢げにのせてたカバン。あれは、うちの高校指定のカバンだろ」

私はぎくりとして咄嗟に彼の前に回り込んだ。でも、すぐに反論した。

「だけど、それだけじゃ私だなんてわからないでしょ? それこそ秋穂とかそこらへんの女子だと思うでしょ?」

「思わないね。あのブログはこの学校の女子の間でも少しは話題になってる。俺もその話を聞いて興味本位に見たくらいだ。そんな風に有名になったら、ああいう女だからひけらかすに決まってんだろ」