キズだらけのぼくらは



芝はすっかり勢いをなくして、先月来たときとはだいぶ変わっていた。

体育館からはホイッスルの音が聞こえてきた。

「終わりにして集まれー」

生徒に呼び掛ける先生の声も一幕かぶったように漏れ聞こえてくる。

私たちはそんな音を耳にしながら芝生を横切り、体育館の裏へとまわった。

そういえば、ここってコイツの定位置だ……。

胸がドキリと高鳴る。

キスする寸前まで近づけられたあの時の距離……。

ふっと一瞬よみがえり、私は慌てて彼の方に向き直った。

けれど、彼は迷う素振りも見せずに、体育館の壁際に胡坐をかいて座り込む。

しまいには、壁に頭も預けて大きな欠伸をした。

まるで、私がいるのを忘れているかのようなくつろぎぶり。

なんていうヤツなんだろう。

私は呆れてものが言えず、イタズラされないように十分な距離をとって、体育館の壁に寄りかかった。