キズだらけのぼくらは



そうやって私が首を傾げている間にも、彼はしれっと横を通り過ぎていく。

彼が横を通れば微かな風を頬に感じて、視界の端には風にそよぐ彼の黒髪が見えた。

私は彼のそんな残像に少しの間見惚れていた。

すれ違う彼の冷たそうな横顔が、なんだか儚く揺れていたから。

ぼうっとする私の先にはもう彼はいなくて、寄り添う結愛と新太の姿が見えていた。

新太の大きな手は戸惑いがちに結愛の頭に伸ばされて、髪をくしゃりと撫でている。

そんな新太の背中は、とても広く見える。

結愛の泣き声ももうほとんど聞こえない。

結愛の頭が、新太の広い肩にこつんともたれるのだけが私には見えた。

心がほんの少し温かくなる。

私はそれを見届けると、ドアも閉めずに来た道を引き返した。

今ならまだアイツに追いつける。

アイツはあんな暴露をしたから終わりだと思っているかもしれないけど、私にはまだ山ほど聞きたいことが残っているんだ。