キズだらけのぼくらは



だけど、そう思えたのは一瞬だけ。

彼は厭味ったらしく口角を釣り上げて、鼻先で笑ったの。

私はよくわからないまま、首を傾げてしばらく彼の背中を見つめていた。

やがて彼は、私の右斜め前の席に勢いよく腰かけた。

さっきの笑いはなに……?

考えを巡らせながら、彼の広い背中の一点を見つめる。

そうしてようやく、私は小さく笑った。

さっき、微妙に心惹かれていた自分を、恥ずかしく思う。

他を寄せ付けない強さ?

笑わせる。

我ながら的外れなことを思ってしまった。

アイツは、厭味ったらしいただの不良。

私は、彼を買いかぶりすぎた。

今思い出したけれど、彼はうちのクラスの問題児だ。