依然歯を食いしばったまま、震える唇で笑みの形を作った。
そんな唇の隙間から、笑い声にもなっていないような吐息が漏れる。
もう笑ってでもいないと、余計に気がおかしくなりそうなんだ。
私は力を振り絞ってなんとか立ち上がると、入口にいる本郷大翔とまっすぐに向き合った。
「アンタがアキムだったの……。今日のあの惨事も、全部アンタの仕業?」
怒鳴りつけたいのを我慢して、必死に抑えつけた低い声。
どうにか抑え込んでいる声は不安定に揺らぎ、泣いているようにも聞こえる。
もっと強い声が出したいのに、夕日に染まった彼の綺麗な瞳が私をとらえると胸になにかがつまってしまう。
すると彼は答えもせず一歩前へ踏み出ると、戸を1ミリの隙間なくうしろ手で締め切った。
ぴしゃりと大きな音が立ち、周りから図書室だけが切り離される。
窓からは新太を苦しめる球児たちの声は聞こえず、廊下にも意地の悪いヤジ馬は見えない。


