私はただただ駆け抜けた。
廊下に3人分の大きな足音を響かせながら。
途中、たくさんの人に指をさされ、白い目を向けられた。
どこに行っても、どんなに早く駆け抜けても、逃げ場がない。
廊下の白は高速で流れていくのに、外のグラウンドも木々も正門もいくらも流れていかない。
まるで、どこへ行っても同じだといわれているみたいだった。
脇腹は次第に痛くなって、うまく動かない左足は鉛みたいに重くなっていく。
それでも新太は走り、私の腕により一層力を入れて掴んでいた。
新太の白い背中がぶれることなく前へ進んでいる。
廊下を走り、階段を駆け上がり、どこへ向かうのかもわからないまま、私たちはひたすらに走る。
どこか遠くへ逃亡するみたいに、まっすぐに……。
だから私は精いっぱいに足を前に出しついていく。
逃げられるものなら、どこへでも連れっていってほしかったから。
そして、誰もいないまっ白な廊下に飛び出した。
迷いもなく廊下の突き当たりを目指す。
やがて新太は、真正面にあるドアを勢いよく開け放った……。


