そして、私の前髪をしっかりと掴んだ秋穂に、私は動転して思いきり首を振る。
「離せ離せ離せ離せっ!」
私は金切り声をあげて叫ぶ。
力いっぱいに声を撒き散らして、現実をぶっ壊したい。
周りで笑っているヤツも、どこかで私たちの情報を流したヤツも消えればいいんだ。
前髪を掴む秋穂から逃れ、私は腕を振りまわしてとにかく暴れまわる。
こんな風に暴れまわるのなんて初めてだった。
景色が、スローモーションに見える。
私のことを煙たそうに見ながらよける秋穂も、狂った私を見て慌てて壁際に避難する生徒たちも、暴れる私の視界の中で歪んでいく。
こんな現実を私は受け入れない。
だってももたんは、私の唯一の逃げ場所なんだ……。
奪われたら、私はどうすればいい……?
涙がこぼれたら力が抜けた。
私はそのまま崩れ、机がぶつかり合う大きな音がたった。


