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雨音に交じって、私のものだとすぐにわかる足音が響いている。

リズムから外れてしまったようなかっこわるい音と、あとからついてくる左足。

雨は止まない……。

結愛と一緒にいた昼休みから、今の放課後まで一度も降りやまないのだ。

私ひとりしかいない静かな廊下は、どこかさみしげに、面倒くさそうに白がくすんでいた。

立ち止まれば、上履きと床が擦れてキュッと鳴く。

なんとなく足元を見下ろせば、磨かれている白い床は蛍光灯の明かりを映しだしテカテカと光っていた。

全体を見渡すと、白い床は鏡のように、教室の入り口の戸やまっ赤な消化器、ぼんやりとした明かりしかとりこめない窓を映している。

でも、どれも歪んでいるの。

まっ平らではない床は、まるで水がはられて波立っているみたいにものを映す。

戸は波を描き、消火器は溶かされてしまったみたいに姿を変え、外のかすかな明かりは私が少し動いただけで揺れまどう。

ここにいるだけで、なぜなのか、息苦しい。