私は息を吐き出しながら、笑いを漏らした。
「結愛はさ、イメージと全然違ったよ」
彼女は私が外国語でも喋ったみたいに、間の抜けた顔でぽかんとしている。
そんなところも彼女らしいのかもしれない。
「私ね、結愛はかわいいから、男には困っていなくて、ぶりっ子でもしてるのかと思ってた。だから、秋穂たちに妬まれてるんだろうなってね」
隣に座っている結愛は小柄だけど細くてスタイルはいいし、顔は目が大きい美少女顔。
あのラブレターの数を思い出しても、男には事欠かないんだろうなとは思ってしまっていた。
「だけど、違ったよ。こんなにも鈍くさくて、バカ正直で……優しいとは思わなかった」
私は何食わぬ顔でそう言うと、彼女はへなへなと力を抜いて箸を置き、元気なく眉根を寄せていた。
「それってやっぱり……私ダメダメってこと……?」
彼女は細い声を絞り出す。
そういうところまで、純粋だね。
「逆。最大限にほめてるの」


