ひっそりとひとりで食べられる場所が限られてくるから。

私はノートを片づけると、のそのそとランチバッグをとりだした。

さて、今日はどこに退避しようか……。

「羽咲さん。これから誰かと約束ある?」

立ち上がろうとした私を、男子の声が呼びとめた。

視線を上にスライドさせていけば、第一ボタンだけ開けられたワイシャツが目に入る。

「よかったら、一緒にお昼食べようよ」

爽やかにキラリと笑う委員長。

私を映す瞳は穏やかそうに細められ、声も優しく降り注がれる。

誰にも優しい、生徒の鏡のような委員長。

いつもひとりぼっちの私をあわれんで、声をかけてくれたんだと思う。

私はすぐに目を逸らした。

そんなことをされたら私への風当たりは強くなる。

ほら、周りを見渡せば、笑顔で昼食をとりはじめていた女子の目が私に突き刺さっている。