キズだらけのぼくらは



世界って、結構残酷だ……。

「どうだろうな。でも、俺にはもう……どうでもいいことだ」

私の手は力がだらりと抜けてぶら下がる。

彼は冷たく呟くと、体を再び机の方へ向けて、いつものように文庫本を広げる。

だけど、憎らしいほど強い夕日は彼の横顔の輪郭を黒くはっきりと浮かび上がらせた。

その口元が、苦しげにきつく結ばれていることなんて、一目見れば誰にでもわかる。

そうなんだよね……。

グラウンドにはもう部員たちの姿は見えなかった。

そう、彼の中で“野球”というものは、とっくにゲームセットをむかえているんだ。

ううん、無理矢理そうされた。

「だけどさ、犯人のことはどうでもよくないでしょ? 犯人って、誰なの?」

立ったままの私はテーブルに手をついて、単刀直入にきりこんだ。

結愛の息をのむ音がはっきりと聞こえる。

だって、野球は終わっても、“復讐”はまだ終われないでしょ?