キズだらけのぼくらは



球児たちの声も遠のいて、私は無音の世界に立ち尽くす。

彼は……、新太は、あの最前線にいたのだろうか……。

いつもいつもあの高い空の下、白球にいろいろな思いをのせてきたんだろうか……。

淡いオレンジに染まった白いレースのカーテンは、いまだ余韻を残すようにやわらかにそよいでいる。

私はさっきの光景に呆然としたまま、なんとなく新太に視線を移した。

彼もまた、私に背を向け、無言で外を見ている。

しおりも挟んでいない文庫本はテーブルに放置され、なにもしないでいつまでも見つめているだけなのだ。

いったい、どんな顔をして見ているの……?

「新太は、まだ、野球やりたいって思うの……?」

結愛の発言で、私の周りに音が戻ってくる。

はっきりと耳に舞い込んでくる、ゲームセットのあいさつの声。

元気よくそろった声が響けば、白いユニフォームは元気に散っていった。