私たちの頭に圧倒的な存在感を残した音はなかなか消えず、いつまでも頭の中を揺さぶっている。
そんな中、ここからは点にしか見えない白球が宙を自由に駆けていた。
3階だからあまり高さは感じない。
でも、そんなことを今考えるのはくだらない。
バッターによって放たれたあの白い球は、悠々と時をかけていく。
土ぼこりの吹く地面から舞い上がり、綺麗な弧を描きながら木よりも高くなり、どんどんのぼっていった白球は最高潮に達する。
決して届かない秋の高すぎる空に愛されるかのように、引き寄せられる白球。
燃えるように色づく空は白球をオレンジに染めあげ、私はその美しさに瞬きも忘れていた。
これはたった一瞬の出来事。
その後は、重力に抗うことなくただただ落ちるだけ。
見えないどこか遠くに落ちた打球は部員を歓喜させ、白く光るベースを次々と球児たちが踏んでいく。
けれど私には、下で豆粒のような人間が動き回っているのはどうでもよかった。
ただ、人の力で高すぎる空に近づいた白球だけが、燃える空とともに私の心に焼きついたの……。


