キズだらけのぼくらは



図書室に来るのは、あのオフ会以来。

中に誰もおらず閑散としていて、私は結愛と歴史の資料探しをしている。

結愛は一足先にテーブルへ資料を運んでいき、どれがふさわしいか物色を始めているところだ。

あんな結愛の顔を見てから、なんだか話しづらくなって、作業に集中していないとばつが悪い。

私はゆっくりと足を前に出しながら、自分よりずっと背の高い本棚を上から下まで舐めまわすように見ていた。

特に本を手に取るわけでもなく、指で硬い本の背表紙をなぞりながら品定めをする。

日本史のシリーズもので綺麗に本の背が揃っているものもあれば、不揃いの分厚い本もある。

どちらも読むには面倒そうだし、来週の日本史の授業までにレポートを提出するのは難しくなりそうだし、イヤだ。

日本史にまつわる事柄ならばなんでもいいという自由すぎる課題に、私たち生徒は頭をひねらなければならない。

まったく、高野の出す課題はいつもいつも面倒なものばかりで、ため息しか出てこなくなる。

けれど、私の目線よりも高い所にそう厚くなく、シリーズものでもない本を見つけ手を伸ばした。

これなら、適当なテーマを見つけやすいだろう。