キズだらけのぼくらは



もっともっと私を責めればいい。

私は光を睨み返すようにして眉間にしわを寄せる。

けれどその時、後ろから速く駆ける足音が響いてきたの。

そしてそう思ったときにはいつの間にか、力強く温かい手に私のひんやりとした手を掴まれていた……。

ハッとして振り返れば、そこには結愛。

「桃香っ、ありがとう。ホントにありがとう」

息を弾ませながら結愛は真正面から私を見て、礼の言葉を繰り返す。

私の心の奥が揺さぶられる。結愛の白い手から、ほっとするような温かさが伝わってくる。

私は最初から結愛を助けなかったんだから、やめてよ。

「いちいち、言わなくていいってば……」

痛いくらい、結愛は優しいね……、傍観者の私なんかに。

私はそのぬくもりから逃れるように手を引っ込める。

「私、日本史の課題がすんでないの。だから、図書室寄っていく。じゃあね」

結愛の目をみていることも今は苦痛で、速く逃れたかったんだ。

「じゃあ、私も! 日本史の課題やんなくちゃ」