キズだらけのぼくらは



私は踏ん張って、結愛を引き上げる。

結愛にはかけられる言葉も、笑顔もない。

ただ黙って彼女を立たせるだけ。負けんな、って思いながら。

だって、傍観者の私が吐く言葉はどれも、私のように白々しい。

それに彼女には、助けなかった私を憎む権利すらある。

だから私には、彼女からクラスメイトの無遠慮な視線を奪って退場することしかできないの。

それぐらいのこと、私には容易い。

長すぎるスカートをはいた根暗が、足を引きずって歩いていれば、みんな笑うからね。

背後からは予想通り、押し殺し切れていない笑い声が聞こえてくる。

私はその笑い声に一瞬微笑むと、白い光がさす廊下にでて、彼らの姿も見えなくなった。

これでよかったんだ、私の白々しいやり方。

あんな場面を見ていたくないためにやった、友情ごっこらしきもの。

今も、滑稽な自分に対する笑いはこみ上げて、長い前髪の間から差し込む白い光は私を責めるみたいに強かった。