――――――
――――

必要最低限の筆記用具しかいれていないペンケースが、軽い音をたててカバンの底へ落ちていく。

秋穂たちとは、なんという違いだろう。

のろのろとダルそうに帰り支度をしている秋穂の周りに、いつもの女子たちが集まっている。

無駄な飾りばかりがついたカバンは薄っぺらくて、ノートも教科書もほとんど入っていない。

机の物入れの中は言うまでもなく、目いっぱいに教科書が詰め込まれていた。

なのに、重そうなペンケースは持ち帰れるのだから、都合のいい子供みたいだ。

時折、私の横を通り過ぎていく生徒の視線を気にしながらも、私は秋穂たちに視線を向け続ける。

私のそれとは違って、ぶくぶくにふくらんだ愛らしいピンクのペンケースは、丸々と太ったブタのようで今はかわいげもない。

それに、ファスナーにはペンケースと大して変わらない大きさのマスコットがじゃらりとぶら下がっていた。

私だったらあんなもの、机に置いておけないだろう。