キズだらけのぼくらは



「アンタこそ、こんなところでなにしてるわけ? 他校にいる女にでも電話? ウミカとかいう彼女いるんだもんね。いや、アンタならいろいろな女と遊んでそうだけど?」

私は控えめに笑いながら、反撃する。

このまま黙って引き下がると思ったら大間違いなんだから。

彼は案の定、大きく目を見張る。

予想通り、言葉の攻撃がきいたみたいで、自然と私からは笑みがこぼれる。

けれど、彼の顔は怖いぐらい真顔になっていったの。

「ウミカって名前、誰から聞いた? どこで知った?」

いつもより声は低く、逃がさないと言わんばかりに私を睨みつけている。

さっきネコみたいに寝たふりをしていたアイツの顔はもうどこにもない。

なんで、ウミカにこだわるの?

そう不審に思いながらも、真剣な表情が怖くなって、私は言葉少なに打ち明ける。

「女子たちの、噂で……。それが、なに……?」

言葉を選びながら伝え、彼の様子を窺う。

すると、彼は急に呆れたように笑った。