キズだらけのぼくらは



顔をしかめながらも、私は芝生に膝をつき、彼の顔をのぞいてみる。

男のくせに、相変わらず綺麗な顔してるな……。

伏せられた瞼から放射状に広がる睫毛は思ったよりも長く、普段とは違って穏やかそう。

切れ長で誰にでも敵意を向けていそうな目とは大違い。

髪もふわふわと風にそよいで、とてもやわらかそう。

こんなところで呑気に寝ていると、なんだかネコみたいだ。

気まぐれで、無愛想で、人のことを見下して、かと思えば気ままに昼寝なんかして。

もう、ネコにそっくり。そんなかわいい顔はしていないけど。

私は声を漏らさないように唇をかたく合わせて笑う。

「黙っていてやれば、いつまでも人を観察して笑うなんて、失礼なヤツだな」

「えっ!」

驚いて声を張り上げ、尻もちをついた。

完全に寝ていたと思っていただけに、面くらった。