キズだらけのぼくらは



さて、私もゆっくりと教室に戻ることにしよう。

弁当箱を綺麗にバッグにしまい終えると、長いスカートに皺が寄ってはいないか綺麗に伸ばしながら、立ち上がる。

命のある雑草を私は簡単に踏みしめて、体育館周りを散策する。

結愛とはもう少しだけ時間差をつけた方がいいだろうから。

今日は散策をするには相応しい日だと思う。

私はブラウスの袖をまくりあげていて、その露わになった腕にあたる風がとても気持ちいいの。

あまり人が歩いていない緑の草の上はやわらかくて、それもまた心地いい。

けれど私は足を止めた。

芝生の上に胡坐をかき、体育館の壁に寄りかかって眠っている男子がすぐそこにいたの。

やわらかな風に揺れる顎のラインまである髪と、その間から見え隠れするゴールドのピアス。

いつもよりもっと緩いネクタイと肌蹴た平らな胸元。

ああ、なんでこんなところで遭遇しなくちゃならないんだろう、本郷大翔に……。