キズだらけのぼくらは



けれどもそれは一瞬で、瞳は光を避け、目線は足元に。

「なのに、その男子は私に告白してきたんだよ。アキじゃなくて、私に……。生きた心地なんてしなかった。自分がすごく汚らわしく思えた……」

潤んでいる彼女の声に私まで俯く。

もう話の全容は見えきっていて、少し胸が苦しくなり始めた。

でも彼女は、それを罪として受け入れようとしているみたいに話し続けていく。

「もちろんその男子の気持ちなんて踏みにじってすぐに逃げたよ。どんなに自分が悪い女になっても、私はアキが一番大切だったから。だけど、翌日にはアキにバレてたっ。謝っても許してはもらえなくて……」

取り乱し始めた彼女は、今にも泣きだしそう。

なのに、自分へ残酷なとどめを刺そうとしていた。

「だからアキにとって、私はっ!……」

「もうやめな。自分でも本当はわかってるんでしょ」

私は、震えている彼女の左手首をリストバンドの上から力をこめて握った。

すると彼女は涙をいっぱいにためて見開いた瞳で私を見る。