「いつも自分で作ってるんだけど、全然うまくならないんだぁ」
更に苦笑いをしながら、ぎこちない手でおにぎりを持っている彼女。
私はゆっくりと彼女に向き直った。
「うち、共働きでね、お母さんも朝忙しいからお弁当は自分で作るんだ。でも、なにをやってもダメなんだよね」
彼女は情けなさそうに笑いながら、そのおにぎりに小さな口でかじりつく。
そうしてそのご飯をのみこむと、疲れきったような重いため息をついたんだ。
「だから……なのかな。こんな風にダメだから面倒くさくて、アキにも嫌われるのかな。秋穂とは親友なんだけど」
親友って言葉が、また心に引っかかって私の喉を狭くする。
私は、箸を弁当箱の上に無造作に置いた。プラスチック製のそれらは安っぽい音を響かせる。
「親友っていうかさ……、あの秋穂になにをしでかしたわけ？」
そう言って、彼女をまっすぐに見つめた。
彼女と秋穂の間にはなにかがあったのだと思う。
どうせ理不尽な内容だろうけど。
