キズだらけのぼくらは



私はハッとする。

あの日、彼に廊下で背中を受け止めてもらったとき、私はかたい感触を感じたんだ。

それは、野球の練習に打ち込んでいたから……。

納得してしまった私は返す言葉もなかった。

彼は間違いなくブラックだろう。

次に私は、入口の前に突っ立ったままの彼女を見た。

白い上履きをはいた足は内側をすり合わせるようにもじもじしている。

彼女の方は疑うまでもない。

アキムはこんな人間じゃないはずだし、きっとあの子に違いない。

「あなたは、ソラでしょ?」

私は苦笑いしながら尋ねた。

すると彼女はぱあっと顔を輝かせて、私に熱い眼差しを向けてきたんだ。

「ありがとう。私の本名は、板野結愛。あの、ももたんって……?」

彼女はなにか物言いたげに、私を見回す。

私も鈍感ではないから、言いたいことは汲みとれたつもり。

「そう、私がももたん。羽咲桃香」