「で、誰が誰なの? この中にアキムはいるの?」
机から手を離して自分の足でちゃんと立ってから、秀才くんと気弱な子を順に見やった。
はっきり言って私がききたいのはふたつ目の質問だけ。
なんのために来たかって、それは自分の身を守るためと、もうひとつ、アキムの正体を暴いて仕返しするためなんだから。
でも、彼はクールに瞼を閉じてゆっくりと首を振り、彼女はぶんぶんとかぶりを振って「ち、違いますっ」と細い声で告白した。
「俺はブラックだ。本名は関谷新太」
勝手に自己紹介を始めた秀才くんの顔を見つめた私は目を細めた。
「証拠は? アキムじゃないなんて証拠はないでしょ?」
私の一言で場の空気は一気に重いものとなる。
気弱な子は俯いて背中を丸めていた。
腕組みをした私は彼を見上げると、彼は黙って私の目の前に手のひらを押し出した。
「これが証拠になるだろ」
説明がなくて私は首を傾げたけれど、彼の指に視線を移すとそこにはタコができている。
野球の練習に明け暮れた証だ。


