「彼らには関わらない方がいいよ。羽咲さんのことが心配だから言うんだ。このことは、僕らの秘密だからね」

耳が急激に熱を持ち始める。

委員長の息も声も、耳にはっきりと刻みつけられる。

透明感のある涼やかな声が、私の思考まで停止させるの。

そしてまた、頭にまでドキドキが響き渡る。

気づいた頃には、委員長はすっと私から離れていっていて、いつもと同じように朗らかに笑っていた。

なにも反応できていない私を置いて、なにもなかったかのように席に戻っていく彼。

今は人目を気にする余裕もなかった。

友達の輪に戻り、その中心で微笑む委員長を、その一点だけをぼんやりと見ていた。

なんで私に、そんな忠告をしてくれるんだろう……?

彼らがなにかしらの問題児だというのは予想がつくけれど。

『僕らの秘密』

この言葉も、私の耳を妙にくすぐった。

私はそのくすぐったさを消すみたいに、手で耳を思いきり擦ったのだった。