「へぇ。実習なんだ。
それにしても馬子にも衣装よね〜」
美紗が仕返しのように皮肉を込めて言うと、亜美は「エッ⁉」と眉をしかめた。
「マゴ…って、どういうこと?
おばあちゃんなら、もうとっくの昔に死んじゃったけど?」
怪訝な顔で言ったあと、そんなことはどうでも良かったらしく、美紗が答える前に話題を変えた。
「ね〜ヒカルは、元気い?」
(馬子のことは、放置なのね…)
美紗は、亜美の変り身の早さに呆れながら答えた。
「ヒカルは4月から、オーストラリアのメルボルンに行ってるのよ。
相変わらず、メールしてもたまにしか、返事寄越さないけど。
現地では和食レストランで働いているって。
友達も出来て、毎日、楽しくやっているみたいよ」
「ふうん…そうなんだあ…」
亜美はファイルを持ったまま、身体を揺らし、もじもじした様子を見せた。
「あのお…ヒカルが日本に帰ってきたら、亜美がナースになる為に本気で頑張ってるって伝えて。
もう逢わないって言われちゃったけど、亜美はまた逢いたいって。
白衣着てるところ、ヒカルに見せたいって」

