「えっ!亜美ちゃん?」
美紗は、仰天した。
よくよく見ると確かに目の前にいるのは亜美だった。
あのすごい付けまつ毛がないので、誰だかわからなかった。
丸くて綺麗なおでこを出し、バレリーナのように一筋の乱れもなく黒髪をお団子に結い上げて、白とピンクのユニフォームを身に付けた亜美は、初々しく可憐で、前に逢った時とは、まるで別人だった。
美紗は、改めて亜美が看護師の卵なのだ…と実感した。
「なんか〜ちょびっと太った?お姉さん、もしかして赤ちゃん出来たの?」
亜美の問いに美紗が、そうなの、と答えると、亜美は美紗の腹を指差しながら、
「うっそー、マジぃ?
めちゃくちゃ早業じゃん!
あの時、まだ結婚してなかったよねー?もう、デキたんだあーすげえ〜!
ああっ、結婚指輪とかはめてるし〜」
などと、フロアに響き渡るようなキンキン声で喚いた。
(やっぱりこいつ、失礼…)
誠が苦笑し、美紗が赤面しながら、苦虫を噛み潰していると、亜美はハッとした顔で辺りを見回した。
「いけね。今、実習中だった。
また、こんなとこ見られたら、先輩に怒られちゃう!」
亜美は一瞬舌をペロリと出して、美紗と誠を上目遣いに見た。

