…それは、まさしく運命を占う一言だった。
美紗の言葉に、誠は目を見開いたまま、静止画面のように動かなくなった。
しばらく美紗の顔を見つめてから、唇を動かした。
「…まじ?」
「うん…妊娠検査薬、陽性だったから。絶対そう。
体調悪いのも、多分悪阻が始まってるんだと思う…」
美紗は俯いて答えた。
「そうなんだ…」
誠はふうっとため息をついた。
(なぜ、ため息なんかつくの…)
美紗は悲しくなった。
「俺のせいで、雪まつり行けなくなっちゃったなあ…」
そう言って誠は人指し指で鼻の頭を搔いた。
「えっ!」
予想もしない誠の言葉に、美紗は雪まつりのことをその時やっと思い出した。
「本当だ…行けなくなっちゃった…
すごく、すごく楽しみにしていたのに…」
札幌雪まつり開催まで、あと三週間ほどだった。
こんな状態で旅行など行けるわけがない。
せっかく、希望する日程で、ホテルも会場近くの良いところを予約していたのに。
初めての札幌を楽しみにしていたのに…
がっくりと頭を下げて、あからさまに落胆する美紗の手を誠は両手で包み込むように握った。

