ハロー、バイバイ!



誠は、きららの話を一切しなくなった。

美紗も訊かなかった。


今が楽しければいいーーそう考えると、とても気持ちが軽くなった。


毎週末、逢って、甘いキスを交わしながら抱き合う相手がいるーーそれだけでいい。

美紗はそう思うことにした。







亜美は結局、30分も遅れてやって来た。


「今日、病院実習だったから、家に帰るのが遅くなっちゃった。
慌てていたから、携帯も家に置き忘れちゃったあ」


そういいながら、亜美の化粧は、この前会った時より更に濃い気がした。

大量の付けまつ毛は、彼女のあまり大きくない目には不釣り合いで、何かの冗談みたいに見えた。


四人掛けのテーブルに向かい合って座る。

亜美は、腕に掛けた真っ赤なエナメルのボストンバッグを空いている横の椅子に置いた。

バッグと同素材の大きなリボンがサイドに貼り付けられたそれは、美紗には絶対に持ち歩けないデザインだ。

亜美のピンク色のゆったりしたニットは可愛らしかったが、グレーのウオッシュデニムのパンツは、びっくりするくらい短い。


外は木枯らしが吹いているというのに、素肌の腿を剥き出しにして、白いロングブーツを合わせていた。