相手がいることで、そんなプレッシャーを掛けられても困った。


「あ、そういえば」

美紗は、話題をヒカルの話にすり替える。


両親は、ヒカルの大学生活をとても心配していた。

付き合っている女の子がいるらしいことは美紗の方から既に報告済みだった。


深夜、彼女が家に居て、下着を忘れていったあの事件は、あまりにもショッキングなので内緒にしていた。


母によると、ヒカルの携帯はいつも留守電だという。


『ヒカルの事も心配だし、近いうちに
横浜に帰ろうかしら。
その時、誠さんとも逢ってみたいわ。
御馳走するから、三人で食事でもしない?ダメかしら?」


積極的な母に戸惑いながら、食事くらいなら、誠は大丈夫だろう、と思った。


「うん。一応、誠に訊いてみるね」

美紗は答えた。