【完】結婚からはじまる恋《1》

全身ミラーにスーツ姿の自分を映して、ジッと見つめた。



初めて着る色だけど…結構似合ってて、自画自賛してしまった。



「着たか?」


カーテンの向こうから訊こえる性急な頼さんの声。



「着ました…」



「開けるぞ…」



「は、はい」



頼さんがカーテンをサッと開けて、私のスーツ姿を見る。


何だか恥ずかしくて頬を赤くした。



「…まぁ、いいっか…おい、かすみ…これにキメた。着ていくからタグを外してくれ」



可もなく不可もない感想。

彼女の名前を呼び捨てるなんて親密さを感じる。