【完】結婚からはじまる恋《1》

私は頼さんに急かされ、慌てて服を選んだ。

私の選んだ服に少しだけ頼さんは眉を顰める。

「これではいけませんか?」

「時間無いし、いいよ。かすみ、彼女を試着室に案内してくれ」

女性店員が私を試着室に案内する。



「ねぇ?貴方…頼の何?」



頼さんがそばに居た時は愛想よく、応対していたのに。


二人になった途端、態度を豹変させた。



彼女は頼さんの名前を呼び捨ててる。

親密な仲なんだろうな・・・



肩で切りそろえられたボブの黒髪。
長い睫毛を揺らし、好奇な目で私を見つめる。



「いえ…私は唯の会社のバイトです」



「そうなの・・・一夜限りの相手ってコトね」


「・・・」


私は何も返さず、試着室のカーテンを自分で閉めた。