私はウィンド越しに夜の街の車窓を見ていた。


「…お前…高校はどこだ?」



「若葉東高校です。でも…2年生の夏に中退しました」



「中退?中退か…」
頼さんの声の色に蔑みが混じる。


「家庭の事情って言うか…偏差値は良くなかったですけど…野球は凄く強かったです」



「…俺の出た大学はハーバード大学」



「…凄いですね…知り合いの旦那様も同じでした」



「ふーん」


車は赤信号で停まった。


ハンドルを握る頼さんも素敵。


「見るな…気が散る」



「すいません…凄く素敵だったから…つい」