「…私…お金は要りません…」



「なら…何が望みだ?お前…本当に俺と結婚する気か?」



「…いえ…あ…思い出を…下さい…」


嗚咽を混じらせ紡いだ彼女の言葉は意外だった。




「思い出?」



思い出ねーーー・・・
そう言えば…彼女の望みは俺と一晩付き合って欲しいだけだったな…


「わかった・・・今夜…朝まで付き合ってやるから…それで俺とじぃちゃんの前から消えてくれ」



「ありがとう…ございます・・・」



俺は彼女に礼を言われ…戸惑う。


でも、彼女は溢れる涙を拭い、口許にはにかむような笑みを浮かべた。