【完】結婚からはじまる恋《1》

「…俺は君のおねぇさんの婚約者で…」


「婚約しているだけで、結婚はまだ、していないんでしょ?」




美愛ちゃんは俺に酷薄な笑いを見せる。







「・・・おねぇちゃん…病気を患うまで…ウチに送金していたの。でも、その送金は病気を機に途絶えた…だから…お母さんの再婚相手の男は14歳の私を女にして売春させた。おねぇちゃん…送金を止めたコトに対して罪悪感を持ってる…この2年間の出来事を全て話せば…どうなるかしら?」



「・・・それは訊いた。でも、君は話さないでくれと」



「気が変わったの・・・おねぇちゃんって自分の幸福よりも人の幸福を願う人。私の境遇を知れば、自分だけ幸せになるなんてできないって言い出すわ…そうなれば、貴方との結婚も破談…その前に…私たちの情事を教えなきゃ」




「俺と君は…キスだけの仲だ…」



「私とおねぇちゃんの信頼関係は貴方よりも強いつもり。ねつ造しちゃえばいいの」