「ないワケじゃない。俺は怖いんだ…」



幸福を失う時のキモチの辛さを味わいたくないんだ。


だから、幸福を自分から掴めない…



利奈にプロポーズしたけど、彼女自身…俺の心の最深部にある幸福に対しての臆病なキモチを汲み取ってたのかもしれない。



「…お前は深幸ちゃんをどう思ってる?」



「…彼女に惹かれている…」




「だったら、そうはっきりと言ってやれ!」



「…でも・・・」



「お前はこのまま、社長の地位、深幸ちゃんを失ってもいいのか?」



「…嫌だ…」


俺は深幸を失いたくない。


未来の幸福よりも今の幸福を失う方が怖い。