【完】結婚からはじまる恋《1》

「わ、私は大丈夫です…」



「なら、いいけど」



頼さんはカップの持ち手を指で持ち上げて、ゆっくりとコーヒーを飲んだ。


伏せた瞳を縁取る睫毛の影が色っぽい。



私の心臓は壊れそうなくらいずっとドキドキさせらっぱなし。



「…仕事いつまで続ける気だ?」



「…あ…いえ」




「妊娠はドクターストップかかってるけど仕事はいいの?」



「え・・・あ」



本当は仕事もドクターストップがかかっている。



でも、家賃も光熱費も折半が条件で友人と住み始めた部屋。



なのに、私はキチンと払えていない。



看護師と言う高給だし、私の病気を気遣い…ほぼ全額払ってくれている瞳ちゃんに悪い。