愁
「あの、そこの人。爽いる?」
『爽?』
愁
「えっと、高木( たかぎ ) 。高木爽」
『あぁ、高木くんね』
俺の苗字が聞こえた気がして
突っ伏してる顔を、扉の方にチラッと向けたら
ネクタイが曲がった愁が居た。
『高木くん、呼んでる』
爽
「んー…」
気怠い体で欠伸をしてから
ゆっくり扉の方に歩を進める。
爽
「よう」
愁
「うっす。どうなの?2組」
爽
「どうって…」
んな事言われてもなぁ…。
爽
「あんま、人と話してねぇし」
愁
「マジで?
長嶋( ながしま )とか居るじゃん。
仲良いんじゃなかったっけ?」
俺の後ろら辺を指さして
教卓の上に座ってる男子…長嶋を見る。
